大人のスキップ

日々のことや好きなものについて

この夜のこと

社会人になって6度目の新年度を迎えようとしている。キツい研修を共に乗り越えた同期は転職をし、まだまだ学生だと思っていた後輩は大学を卒業し、昔好きでよく見ていた配信者は結婚をした。3月後半、自分はといえば、上司の異動や後輩の体調不良、震災と様々なことが重なり、駆け抜ける日々だった。余暇の時間が(いつもよりは少ないしても)ないわけではないけれど、体力的または精神的な疲労からなのか、ゆっくり時間をとって映画や演劇を観ることが出来ていなかった。

そんなこともあって、今夜観た『あの夜を覚えてる』がとても響いてしまった。誤解を恐れず端的に言ってしまえばラジオ愛に関する物語なのだけれど、今ほどラジオを好きになったのはそれこそ社会人になってからなので、タイミング的にもこの5年間の社会人生活と、それに紐づく「あの夜」の記憶が呼び起こされて、思わずグッときてしまったのだ。生配信ゆえに、この公演が行われている現実とラジオが放送されている物語の中とで、「忘れられない夜」に立ち会っているという感覚がリンクするので、興奮もひとしおだ。リアルで『カメラを止めるな!』的なことをやっている訳だから、こちらが想像している以上に大変だと思うのだけれど、その点で生配信であることの意味は物凄くあったのだなと思った。

「人や自分の多面性を認めること」について触れられていたのも個人的に良かった。誰かの知りたくなかった側面を知り、それに怒り、悲しんだこと。それは間違いなく本当のことであるのだけれど、それと同時に、その前にあった楽しかったことや好きという気持ちは確かに存在していて、それもまた本当のことなのだ。「ファッキュー」と「ラブユー」は同時に存在し得る。そんなことを描いた作品が特に最近は刺さっている気がする。

仕事に奮闘する人たちの群像劇としても面白いので、ラジオ好きはもちろん、聴いたこともないという人でも楽しめるのではないでしょうか。そんな自分は『SHIROBAKO』を1話から観直そうと思っている。他にも千葉雄大の演技すげーとか、ニッポン放送内の色んな場所を見られてたのしーとか、選曲がナイスーとか色々あるので来週までにアーカイブ観直します。

勢いでこれを書いていることから分かるように、忙しさ故に少し落ち込み気味だったエンタメ熱が再燃した訳ですが、都合の良いことに今週からは空気階段の単独公演、家主のワンマンライブ、ロロの新作本公演が控えている。過去の自分よ、グッジョブ!である。