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『クラウドアトラス』と『スピリットサークル』

ツタヤにて、借りる映画の残り1本がなかなか決まらず、散々迷った挙句選んだ『クラウドアトラス』。これがかなり面白く、あの時の自分を褒めたいと思う
 

 
異なる時代の6つの物語が次々と切り替わり描かれていくのだが、それぞれの物語を平行に語りながらも、各時代における媒体(航海日記、手紙、映画など)によって繋がりを意識させ、ときおり状況、映像、セリフを上手いことリンクさせていく。決してひとつに収束することはないが平行だった物語が交差するその瞬間の素晴らしさたるや。
 
ほうき星型の痣というところから『ジョジョの奇妙な冒険』を連想せずにはいられないのだが、設定云々以外にも同じ空気を感じる部分があった。自由、愛、欲望、過ち。壮大なスケールのなか織り成される人と人との物語。人間賛歌の物語。そして運命、宿命の力。血族か否かという違いこそあれど、根底にあるものは同じような気がした。
 
おそらく同じ痣を持つものではなく同じ役者が演じている役が生まれ変わりということなのだろうが、どちらにせよ輪廻転生の設定自体、ほのめかすだけで、作中ではっきりと明示されている訳ではない(設定があるのは確実だが)。この点に関しては、観る側にあれこれと考えさせる余地を残していて良いと思った。
 
火の鳥』のモチーフがあるんだろうけど、残念ながら読んだことがないのでなんとも言えない。
 
個人的に好きなシーンはフロビシャー編のラストの時計塔のシーンだ。視覚的にも美しく泣きそうになる。あとは、役者がそれぞれの時代で演じた役が、エンドロールにて種明かし的に紹介されるのだが、「あの役この人だったの!?」という驚きもあれば、「やっぱりその2人は同じ役者なんだみたいな腑に落ちる感覚もあって面白かった。
 
 
そして先日、同じく輪廻転生を題材にした漫画、水上悟志の『スピリットサークル』を読んだ。この作品の中では、スピリットサークルと呼ばれる道具によって前世を夢の中で追体験する、という形で前世の物語が描かれている。過去生の影響が重なり合いながら物語は展開され、その厚みを増していく。そしてその中で様々な繋がりが見えてくる。テンポが早いのにそれぞれの物語はしっかり面白いし、輪廻転生モノとしての良さも詰め込んである。まだ連載中で分からない部分も多いが、面白いことは間違いない。今一番新刊を楽しみにしている漫画かもしれない。
スピリットサークル 01―魂環 (ヤングキングコミックス)

スピリットサークル 01―魂環 (ヤングキングコミックス)

惑星のさみだれ』しかり、水上悟志さんの漫画はもっと評価されるべきだと思う。本屋に置いてなさすぎじゃないだろうか。近所の本屋はどこも最新刊が何冊か置かれているだけだし、とある本屋はそもそもヤングキングの漫画がドリフターズそれ町、河合荘くらいしか置いていなくてビックリした。
 
 
こういった時空を超えて繋がってゆく物語は大好きなんだけど、いざ自分のこととして考えると、輪廻転生などというスケールの大きい話は全く想像もつかないそもそもまだ20年ちょっとしか生きていないし、目の前のことをこなしていくので精一杯で、来世だとか前世だとか言ってる場合ではないでも、妙に気の合うアイツとは前世でもこんな感じだったのだろうかとか、見たことないはずの風景なのに何故か懐かしさを覚えたり、何気ないことにグッとくるのは前世の影響なのだろうかとか、そんなくだらない事を考えるのは少し面白い。空想するだけならタダだ。